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UCP for Lodgingとは?Googleが進めるAIホテル予約の共通規格を解説

公開日
更新日
執筆
須田 エドワルド(VibeBooking 代表)

UCP for Lodging(ユーシーピー・フォー・ロッジング)は、AIエージェントが宿泊予約を最後まで進めるための共通規格です。AIエージェントとは、利用者の代わりに調べものや手続きをするAIのことです。Googleが主導するUniversal Commerce Protocol(UCP)のうち、宿泊を扱う仕様です。

2026年9月24日、この仕様の草案が、GitHubで公開されているUCPの仕様に加わりました。まだ正式版には入っておらず、内容が変わる可能性があります。Googleは、まず米国の施設から参加を受け付けています。日本の施設が直接参加する方法は、いまのところありません。

予約の当事者は、ホテルのままです。なお、AIが宿を見つけて比べる段階は、この規格の対象外です。

この記事のポイント

  • AIエージェントがホテル予約を最後まで進めるための、共通の手順とデータの形を定めた規格です。
  • 予約の当事者はホテルのままで、決済もホテルが使う決済代行会社が行います。
  • 2026年9月時点では草案です。Googleは当初、米国に施設と銀行口座を持つ事業者から参加を受け付けています。
  • 空室や料金の配信と、AIが宿を見つけて比べる段階は対象外で、予約の手続きだけを定めています。

UCP for Lodgingとは

UCPは、AIエージェントとお店をつなぐための共通規格です。2026年1月にGoogleが発表しました。ShopifyやWalmartなどと共同で開発し、オープンソースとして公開しています。

UCP for Lodgingは、このUCPに加わった宿泊の仕様です。中心は「Lodging Booking」という予約の機能で、キャンセル規定を表す追加の仕様(拡張)が付きます。ホテルの客室だけでなく、貸別荘やアパートメント、キャンプ場まで扱えるように設計されています。

この記事では、旅館なども含めて「ホテル」と呼びます。

発表の経緯(2026年8月〜9月)

2026年8月27日、Googleは検索のAIモードで、ホテルの予約を米国で始めました。英語のみで、Booking.com・Expedia・Hilton・Marriottなど10社が参加しています。

翌月の9月24日には、宿泊の仕様の草案がUCPに加わりました。旅行者がAIに宿を尋ね、そのまま予約する流れが、規格として固まりつつあります。

予約が確定するまでの仕組み

仕様が定めているのは、予約の手続きです。流れは次のとおりです。

  1. 旅行者AIに宿の予約を頼む
  2. AIエージェントホテルのシステムに予約の手続きを始める
  3. ホテルのシステムその時点の料金と空室を答える
  4. 旅行者確認画面で内容を確かめ、確定する
  5. ホテル予約を受け、確認メールを送る
図:UCP for Lodgingで予約が確定するまで

このとき、AI側がホテル側のAPI(システム同士が情報をやり取りする窓口)に対して行う操作は、次の5つです。仕様では、AI側をPlatform、ホテル側をBusinessと呼びます。

UCP for Lodgingの5つの操作
操作内容
作成客室、料金プラン、日程、人数を伝えて、予約の手続きを始めます。
取得いまの内容と合計金額を確かめます。
更新客室や宿泊者などを変えます。
完了支払い情報を渡して、予約を確定します。
中止確定する前の手続きをやめます。

通信の方式は2つです。Webサービスで広く使われるRESTと、AIエージェントが外部のサービスを使うための仕組みであるMCPです。

料金と空室は、予約の時点でホテル側が答えます。Googleも、予約ボタンを出す前に、ホテル側のAPIで最新の料金と空室を確かめるとしています。

AIが勝手に予約を確定することもありません。支払いを任せるための拡張(AP2)を使わない限り、最後は利用者自身が確認画面で確定します。

予約の当事者はホテルのまま

GoogleのUCP for Lodgingの案内と仕様書は、次の点をはっきり書いています。

  • 予約の当事者(Merchant of Record)はホテルです。ホテルの規約がそのまま適用されます。
  • 決済は、ホテルが使う決済代行会社が行います。クレジットカード業界のセキュリティ基準(PCI DSS)への対応は、ホテルには求められません。
  • 顧客データも、お客様との関係も、ホテルが持ち続けます。
  • 宿泊者の詳しい情報は、予約を確定する直前まで送らないよう定めています。
  • 予約機能への参加は、Google上での掲載順位に影響しないと、Googleは説明しています。

日本の宿泊施設は参加できる?(2026年9月時点)

いまのところ、日本の独立系の施設が直接参加する方法はありません。Googleの申し込みフォームには、米国に施設と銀行口座を持つ事業者から始めると書かれています。選ばれた事業者には、30日以内に実装を始めることも求めています。

宿泊分野の仕様は、技術評議会が決めます。メンバーはGoogle・Amadeus・Booking.com・Expedia・Hilton・Marriott・Trip.comの7社で、日本の企業は入っていません。

一方で、仕様そのものは誰でも読めます。予約エンジンやサイトコントローラーの会社が、この仕様に対応することもできます。ただし草案のため、内容が大きく変わる可能性があります。

決まっていること、まだ決まっていないこと
項目2026年9月時点
予約の当事者ホテル
通信の方式RESTとMCP
料金の示し方税などを含めた総額
キャンセル規定返金可、一部返金、返金不可の3つで表す
日本での開始時期発表なし
手数料公表なし
予約後の変更と取消仕様の対象外
空室と料金の配信仕様の対象外

AIが宿を見つける段階は、規格の外

AIが宿を見つけて比べる段階は、この規格では扱いません。ここは規格を待たずに、いまから整えられます。

2026年9月、京都の宿泊施設50軒の公式サイトを調べました。日付を指定した料金までAIが取得できた施設は、1軒もありませんでした。サイトを読み込めなかったり、料金が日付を入れて送信するまで出てこなかったりしたためです。

まとめ

  • UCP for Lodgingは、AIエージェントがホテル予約を最後まで進めるための、Google主導の共通規格です。
  • 予約の当事者はホテルのままで、決済や顧客データもホテル側に残ります。
  • 2026年9月時点では草案で、参加の受け付けは米国の施設から始まっています。
  • AIが宿を見つけて比べる段階は規格の外にあり、公式サイトの準備はいまから始められます。

更新履歴

  • 公開しました。

参考資料

執筆:須田 エドワルド(VibeBooking 代表)